学会誌の連載企画【学位論文研究紹介】の第4回目です。
本論の第4章は、日本の伝統建築技術の漆喰等の調湿機能建材について研究しています。
化学物質(VOC)低減性、悪臭防止性、調湿性、防音性について性能実験した「左官材料を中心とした内装仕上材の物理評価と機能展開」と、爪傷による美観影響を調べた「伝統的左官仕上げテクスチャーの引搔き傷が美観へおよぼす影響の研究」の2つで構成しており、この連載では、後者の美観影響の研究部分を紹介しました。
左官仕上げは日本の伝統建築技術です。そして、漆喰仕上げでは、抗菌や調湿性能といった、高温多湿の日本の気候に向き合ってきた性能を持っているとされ、ペット飼育家庭の抱える消臭等の衛生面での環境課題に向けて期待が高いです。しかし、左官等の自然素材感がある建材仕上げの場合、犬猫の爪により傷つきやすいことから避けられやすく、使用面積が拡大しない現状の課題があります。
通常生活での、「壁に前脚をつく」といった犬猫の正常な動作でも、爪の接触で壁面が傷つくことはあり、それが人にとっては目立つ傷と感じてしまう事も多いものです。そこで、建材の引掻き傷による外観の変化がどのように生じ、定量的な外観劣化度に影響するのか、どういったテクスチャーならその傷があまり気にならないのか、実験したりして検討してみましたよ、というお話です。
学会HP:http://www.finex.jp/index.html
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