猫と楽しく暮らす家
住まいにも行動学があります。
猫は小さな犬ではありません。人とも考え方も住行動も違います。
人気の猫用アイテムを駆使した「猫リフォーム」が大流行しています。
でも、それは、本当に猫の必要なものですか?
人が、その安全と衛生管理を徹底できますか?
人が猫の動きを楽しむのは良いですが、猫の心と体に負担がないものであるべきです。また、足下が不安定であったり、衛生管理ができないのであれば、キャットウォークやタワーのような高所通路は家庭内の危険ポイントになってしまいます。
家族にとって健全な住環境であるためには、猫に必要なものを、過不足なく、というのが大切です。
誤解や勘違いのあるポイントを少し上げてみましょう。
・・・出張訪問による
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空間の確保
Q:猫のためにキャットウオークやキャットタワーを作ってあげたんですが、なんかあんまり使ってないみたい。
棚を段差に作ったり、天井近くを猫があるく通路を作ってあげたりといった、猫用の住まいの工夫は楽しいですね。
運動不足の解消と、年をとっても元気に過ごさせてあげるためにも大切な仕掛けです。
ただ、はじめは使っていたのにだんだん使わなくなってきた。または、全然使わないというものもあるのが残念です。
キャットタワーなどで空間を立体的に有効利用できるようにしても、その場所に登って部屋全体が眺められてしまうのは、逆に刺激を減らしてしまっているのと同じです。
まずは、好奇心旺盛な猫の心を満たす空間配分ができているか、猫の視点で見てあげてください。
空間が刺激的なように、ということですが、
私の場合は、猫の立ち止まる場所に、猫と人のためのちょっとした仕掛けをします。
人との暮らしを、猫が十分に堪能し、人は猫との絆をもっと深めやすくする工夫です。
何が刺激的なのかは、猫の目と気持ちで。
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隠れ家の確保
Q:キャットウォークやタワーを作ったのに、全然おりてこない。私との関わりが薄くなった?(汗)
来客など、家の中が普段と違う空気に包まれる時、犬や猫もその気配に反応します。
興奮してちょっとウロウロしたり、猫などはどこかに隠れてしまって出てこないというものもよくあることです。
犬や猫に安全な「引きこもりスペース=隠れ家」が必要です。
私達人間はもちろん、犬や猫達も環境に違和感を感じた時でも、もぐり込むような狭い場所にいると安心できるからです。
この誰からもちょっかいをかけられないような狭い場所で、ゆっくり気持を落ち着かせ、状況を判断したりなど心の準備ができるというわけです。「隠れ家」というともう少しわかりやすいかもしれません。
隠れ家となる「居場所(ハウス)」は、別に犬だけのモノではないのです。猫にだって重要です。
人と関わりが減ったような気がする場合、少し気弱な猫の場合が多いようでした。
猫の距離感と猫のタイミングで人に近寄れるような工夫がされていると、猫が自分のペースで人に関わりやすくなります。
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猫の社会
Q:猫同士で仲の良くない子がいて、弱い方が追いつめられるようにしてキャットウォークから落ちてしまったことがあります。いつか怪我をしそうで心配です。仲良くキャットウォークが使えないものでしょうか。
梁や高い場所に造った「キャットウォーク」と一般的に呼ばれる猫用の通路は、猫一頭がやっと歩ける巾ぐらいしかない事が多いですね。
そうなると、通路では相手とは真正面で向き合う形になるので、気の弱い子の方がしかたなくUターンするといった行動も見受けられます。
足を滑らせて渡り通路から転げ落ちる、そんな危険な報告もあり、高所の猫通路には安全性には気をつけたいですね。
安全とは、猫の生理生態に沿って、足下が「ぐらつかない」「滑らない」という歩行の快適性の他に、猫も社会動物である、という理解が必要です。
家庭の猫は、人の家族や他の動物との関係はもちろんですが、猫が3匹以上いれば、その家庭内で猫達だけの社会も発生します。猫達の社会関係が生活空間で無理なく築かれていかないと、ストレスや爪とぎや臭い付けなどの縄張りの主張行動が増えてしまいます。多頭飼育に対応した配慮が室内にも必要でしょう。
猫同士のケンカが頻発する。狭い場所にずっと閉じこもっている、高い場所から全然下りて来られないコがいるなどは、猫の社会のための環境の整備が足りていない状況です。
猫達だけでの社会関係が行いやすい環境にあるのか、このコ達の生活空間である家庭内を再確認してあげましょう。
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健康被害
Q:お尻がハゲるほど舐めていて、アレルギーだろうと診断されました。食事療法で少し良くなったようですが、季節ごとに辛そうです。
「お腹を過剰に舐めてしまう」というのは、退屈など何らかの精神的なストレスがないかをまず考えます。その場合は、上記の「空間の確保」「隠れ家の確保」「猫の社会」といった、猫にとって空間が豊かでストレスがないかを確認しましょう。
そういった配慮をしていたとしても、空気環境によるストレス、というものが健康に影響することがあります。
犬猫は人より身体が丈夫なんだ、と考えている方がいるようですが、私の調べたところ、それは誤解のようですよ。
赤ちゃんと同じぐらいデリケートだと考えてあげてください。
犬猫にもアトピーやアレルギー疾患が増えました。室内飼育が影響していると考えられます。
体が小さい事で、空気汚染に人より影響を受けやすいとも言えます。飼育場所の空気環境には十分に配慮しましょう。
建材以外に、人間が後から持ち込む化学物質も案外多いので注意が必要です。
たとえば、防虫剤です。物入れ内の使用でも、揮発して室内に漏れて拡散します。
パラジクロロベンゼンなど空気より比重が重い成分が使用されている場合も多く、空気の流れの少ない状態では床面付近で滞留します。
ハウダストも床面での滞留しやすいので、小動物はそのゾーンで呼吸しているような状態になります。
体力と免疫力が低下し、精神的ストレスも高くなります。
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